志桜塾(松江市 米子市)

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主宰者の想い

2011年の時の自分を振り返っています

私が、安定した教員の職を辞して塾を創った理由

「なぜ、先生を辞めたのですか?」

塾を始めてから、数えきれないほど受けてきた質問です。
その言葉の奥には、「なぜ、安定した未来を捨ててまで、わざわざ険しい道を選ぶのですか?」という響きがあるのかもしれません。

教員生活16年。順風満帆でした。
しかし、私の心にはずっと、拭えない問いが渦巻いていました。

きっかけは、定年退職された尊敬する先輩の姿でした。
38年間、教員という専門職を全うした方が、年金支給までの日々をアルバイトでつないでいる。
大学生に指示されながら、黙々と作業をするその背中を見たとき、
雷に打たれたような衝撃を受けました。
「教育のプロの終着点は、ここでいいのだろうか」と。

一方で、私は教壇から見ていました。
自分の限界に挑み、たとえ浪人のリスクを背負ってでも、
東京大学や京都大学といった難関に挑戦する生徒たちの、まぶしい姿を。
彼らは「妥協」すれば、いくらでも楽な道を選べるはずなのに、それでも挑むのです。

ひるがえって、自分はどうだ。
生徒には「挑戦しろ」と言いながら、自分は安定というぬるま湯に浸かっているだけではないか。
教員として16年、プロとして自分に何が残ったのか。
挑戦する生徒たちの前に立つ資格が、今の自分にあるのだろうか。


心の中の「声なき声」が、日に日に大きくなっていきました。


そんな葛藤のさなかに、あの日が訪れます。
2011年3月11日、東日本大震災。

テレビの画面越しに、豊かさの象徴であった家や車が、
まるで模型のように津波に飲み込まれていく。
昨日まで当たり前にあった日常と、
守りたかったはずの尊い命が、一瞬にして奪われていく。

その光景を前に、私は立ち尽くしました。
そして、あの「声なき声」が、今度はっきりと私に問いかけてきました。

おまえの人生は、本物か。
おまえは、挑戦者か。
失われるモノにこだわり、失われない大切なことを見失ってはいないか。

その時、腑に落ちたのです。お金も、財産も、地位も、そして命でさえも、一瞬で失われることがある。
しかし、どんな困難の中にあっても、決して誰にも奪うことのできないものが一つだけある。


それは、その人の「生き様」だと。


私は、教え子たちの心に、知識だけでなく、私の「生き様」そのものを残したい。
困難に屈せず、自分の信じる道を切り拓こうともがく、この背中を見せたい。
そう決意し、翌日、私は辞職願を提出しました。


しかし、現実との闘いはそこからでした。
「島根の、山陰の生徒たちのために!」という燃えるような理想は、
生徒が一人も集まらない現実の前で、
わずか3日で不安へと変わりました。


たった一人、がらんとした教室の床にカーペットを貼り、
机を運び、ホワイトボードを組み立てる。
その作業の途中、なぜか涙が止まらなくなりました。
「やめるんじゃなかった」「どうしてこんなことを」…
後悔の念に、毎晩押しつぶされそうでした。

そんな私の元に、光が差し込みます。
5月の授業開始から、ポツリ、ポツリと生徒が集まり始めたのです。
かつての教え子たちでした。
彼らが私の噂を聞きつけ、訪ねてきてくれたのです。
「嬉しかった」という言葉では足りません。
ここで自分が諦めるわけにはいかないと、心の底から思いました。


そこから私は、必死に努力しました。
日本中の参考書を解き、あらゆる大学の入試問題を解き続けました。

しかし、その努力は歪んでいました。

「生徒のため」と言いながら、
その実、「この授業は価値がない」と生徒に見捨てられるのが怖いだけ。
自分の不安を打ち消すためだけの、独りよがりな努力でした。
どれだけ自分を追い込んでも、私の本質は何も変わっていなかったのです。


自分自身が、心底嫌になりました。


このままでは壊れてしまう。
そう感じた私は、現状を打破するために、一番苦手なことに挑戦しようと決意します。
2014年、プロの講演家など235名が競う「講師オーディション」への出場です。
本や映像に頼らず、たった10分間の「語り」だけで心を動かす真剣勝負。
授業後の深夜、何度も原稿を書き直し、声を枯らしながら練習を重ねました。
そして、500人の観客を前にした決勝の舞台。

結果は、まさかの日本一でした。


スポットライトの真ん中で、私はようやく本当の答えを、いや、進むべき道をはっきりと見出したのです。


自分の不安を消すための独りよがりな努力は、空っぽだった。
本当の学び、本当の教育とは、そんな小さな自分を守るためじゃない。


目の前にいる、たった一人の「君」の未来のために、
君が心から笑えるその瞬間のために、命を燃やすことだ!


そう、私にとっての「誰か」とは、他の誰でもありません。
今、この震えるような想いを読んでくれている「あなた」です。

もう、迷いはない。
私の時間は、私の経験は、私の情熱のすべては、あなたのためにある。

だから、聞いてください。

もし、あなたが今、自分の限界に悩み、未来への不安に立ち尽くしているのなら。
もし、心の奥底で「変わりたい」と、声にならない叫びを上げているのなら。

言い訳は、今日で終わりにしよう。
「どうせ無理だ」という言葉を、この教室から永遠に追放しよう。


あなたが「本気」の覚悟を決めるなら、私は全身全霊であなたにぶつかる。
あなたが自分の弱さに涙するなら、隣で肩を抱き、何度だって一緒に立ち上がろう。
常識を壊し、限界を超え、不可能を可能に変える。
ここは、そのための戦場(ステージ)だ。


あなたの「志」が、満開の「桜」となって咲き誇るその日まで、私は決してあなたを一人にはしない。

信じています。
いや、私は、あなたを信じ抜くと、とっくに決めている。

さあ、ここから、あなたの本当の物語を始めよう。


志桜塾 代表 長谷剛

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